歴史的な景観が残る嬉野市「塩田津」。ずらりと並ぶ町家が当時の情景を語っているような心和む街並みです。
最近では古民家をリノベーションしたカフェやお食事処がオープンしたり、新しい取り組みも活発に行われています。SNS映えするお店も多いので、若者にも人気。そんな「塩田津」の魅力をたっぷりお届けします。
塩田津ってどんなところ?
塩田津は江戸時代から長崎街道の宿場町として、また有明海の大きな干満差を利用した川港として栄えた場所です。当時は船頭や米屋、菓子屋など多くの店が軒を連ねており、現在も歴史的な景観が残されています。
江戸時代に確立された建築様式で 火災・風水害に強い白い漆喰に覆われた大型町家「居蔵家(いぐらや)」が建ち並ぶ重厚な町並みは、2005年に「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されました。
塩田津の歴史をもっと知ろう(ガイド付き町並み見学)
塩田津の魅力を、豊富な知識と楽しいお話で教えてくださるのは、塩田津町並み保存会のボランティアガイドさん。歴史ある街並みを案内していただけます。
※ガイド付き町並み見学…見学希望日の1週間前までに要予約(担当者さんがいらっしゃればその場で案内していただけるそうですが、予約していくと安心です)
[塩田津町並み保存会・ガイド付き町並み見学]
※見学希望日の1週間前までに下記URLからFAXにてお申し込みください。
塩田津街並み保存会(ホームページ)
見学の集合場所である「塩田津町並み交流集会所」も、当時天草から運ばれた磁器の原料となる陶石の集荷施設「検量所」だった場所が使われています。
旧検量所の裏にある川こそが、塩田津の発展に欠かせなかった水路であり、昭和に使われていたコンクリートのクレーンもその姿を残しています。また、棚路(たなじ)という民家裏から川に降りる石の階段は、日常生活に使われていたものだそう。
さて、まず最初に案内していただいたのは、旧検量所の隣に建つ「旧下村家」。
江戸後期に建てられた「旧下村家」は、嬉野市指定文化財になっています。コの字形の草葺き屋根が、くど(竈=かまど)に似ていることから”クド造り”と言われる、塩田津の家屋でも数少ない住宅。
他にも天草から運ばれた陶石や、水車の模型などから当時を想像することができ、すでにわくわくが止まりませんでした。
しかし、見学はまだはじまったばかり。塩田津は由緒あるお寺も魅力の一つです。民家の間を入ると、山門の立派な「本応寺」の堂々たる姿を見ることができます。
ここ、本応寺はかつて長崎街道を往来する身分の高い人たちが宿泊する「本陣」として利用されていたそうです。
そして、ガイドさんと回るときにしか上がることのできない、貴重な住宅がこちら。国の重要文化財に指定されている「西岡家住宅」です。
西岡家住宅は、回船業を営んだ塩田津屈指の豪商。家の内部は部屋の欄間、襖やくぎ隠しに至るまで、繊細な装飾が印象的でした。塩田津の幾度とない水害を乗り越えて、大切に受け継がれた文化財が、今でもこうして身近に見られることに感動を覚えるほど。この豪華な造りはぜひ、ご自身の目でご覧いただきたいです!
また、ガイドさんにクイズを交えつつ紹介していただいたのですが、これもガイドさんと一緒ならではの楽しみ方です。
他にも、たっぷり町の建物やその歴史を教えてくださいました。
町並みをゆったりと歩くだけでも十分に情景を楽しむことができる塩田津ですが、ガイドをしていただくとより一層理解が深まります。
塩田津にいらっしゃった際には、ぜひガイド付き見学で回ってみてください!
[塩田津町並み保存会・ガイド付き町並み見学]
※見学希望日の1週間前までに下記URLからFAXにてお申し込みください。
塩田津街並み保存会(ホームページ)
お問い合わせ先 | 電話番号・FAX:0954-66-3550 メール:shiotatsu1227@dune.ocn.ne.jp |
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料金 | 5名様まで:一律500円 6名様以上:1人100円 |
所要時間 | 通常1時間 |
受付時間 | 9時から17時(月曜日休館) |
アクセス | ▼お車でお越しの方 ・鹿島市方面から国道498号を嬉野市役所塩田庁舎方面に約10分。 ・武雄市方面から国道498号を嬉野市役所塩田庁舎方面に約18分。 ・嬉野市方面から国道34号から県道28号に向かい、 県道28号を嬉野市役所塩田庁舎方面に約20分。 ▼公共交通機関をご利用の方 嬉野バスセンターから祐徳バス嬉野線・祐徳神社前 (塩田・肥前鹿島駅前経由)で嬉野市役所塩田町社前下車 |
塩田津
塩田津の古民家でランチ
歴史ある古民家カフェ『restaurant&cafe RAKUYA』
塩田津ガイドツアーのあとは、お洒落なカフェでランチタイム。『restaurant&cafe RAKUYA』さんは築180年ほどの歴史ある古民家をリノベーションしたオシャレなお店です。
店主の田中さんが、小料理屋をされていたお母様から受け継がれたというお店は、癒しの雰囲気が広がっています。
元の古民家の良さを生かした素敵な照明は、田中さんのコーディネート。自然と落ち着く場所で美味しいランチをいただきました。
看板メニューのアリゴオムライスは、熱々のアリゴ(モッツァレラチーズとじゃがいもを合わせたフランスの郷土料理)を目の前でかけてくれます!
SNS映えで写真を撮る人も多いんだとか。良い香りと、とろーりとしたアリゴが食欲をそそります。ふわふわの卵も幸せを運んでくれる最高の一品でした!
お皿も有田焼で提供され、食材も佐賀のものにこだわっているというRAKUYAさんのお料理。定番メニューの他にもパスタ、季節限定のオムライスメニューもあり、色々と迷うほど。
取材時の限定メニューは「とろける湯豆腐と湯葉の和風オムライス」。嬉野の湯豆腐とお出汁がかけられたやさしい味わいで、さらりと食べられます。単品注文もできますが、前菜とデザート、ドリンクのついたリッチセットがおすすめです!
小料理屋時代の常連さんも通うというRAKUYAさん。県外からのお客様も多くいらっしゃるなか、地元の良さを知ってもらいたいという思いがあるそうです。
お母様が愛用していたレモンオイルを使ったサラダを出されていたり、お店の名前も「楽家」を引き継いで「RAKUYA」表記にされたことを聞くと、心もほっと温まるような気がしました。
塩田津を散策したあとは、『restaurant&cafe RAKUYA』で時間を忘れてのんびりランチを楽しんでみてはいかがでしょうか。
そして、RAKUYAさんは今春頃、川沿いにテラス席をオープン予定だそう。ペット(小型犬)の同伴も可能になるとのことでさらに楽しい場所になりそうですね。テラスのオープンも楽しみです!
スポット名 | restaurant&cafe RAKUYA(レストランアンドカフェ ラクヤ) |
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住所 | 佐賀県嬉野市塩田町馬場下甲1461 |
電話番号 | 0954-69-1511 |
営業時間 | 11時から15時30分 【ラストオーダー】 ランチ:14時まで カフェ:15時まで |
備考 | restaurant&cafe RAKUYA(Instagram) |
旅のお土産に和菓子をどうぞ
中山製菓舗
中山製菓舗さんは武雄方面からの祐徳バスを降りてすぐの国道498号線沿いにあります。
太平洋戦争の影響で一時お店を閉められていたこともあるそうですが、店主さんのお祖父様の代、明治の頃から続いているという老舗。
ショーケースには店主さん手作りの和菓子がずらりと並んでいます。
佐賀の伝統銘菓といえば、逸口香(いっこっこう)や丸ボーロ。長崎街道では砂糖・お菓子文化が生まれたこともあり、経由地である塩田津もお菓子文化が残るまち。
逸口香は江戸時代中期に中国から伝わったといわれる佐賀の銘菓で、香ばしい黒糖とぱりっとした生地の食感が相まって美味しい上品な味わい。和菓子ながらコーヒーにも合いそうな一品です。
丸ボーロはほぼ創業当初からの味を受け継いでいるとのこと。どこか懐かしいような、やさしい味です。
そして、お母さんおすすめの巻羊羹をいただきました。巻羊羹はあの長方形の「羊羹」が巻かれているのかな?と思ったのですが、そうではなく、とろりとした甘い餡が入っていました。
数人で分けても、満足感があると思います。こちらもすごく美味しい!
店主さんたちも気さくで、色々とお話をしてくださいました。甘いお菓子だけでなく、お店の温かさにも癒される「中山製菓舗」さん。
シュガーロードともいわれる塩田津のお土産に、なつかしの味をぜひ。
スポット名 | 中山製菓舗 |
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住所 | 佐賀県嬉野市塩田町大字馬場下甲1857-1 |
営業時間 | 9時から18時 |
定休日 | 元旦 |
駐車場 | なし |
中山製菓舗
歴史ある町並みを保存し、さらにそれを生かした素敵なお店も多くオープンしている塩田津。歴史を知ってから改めて歩くと、また違う感覚で見ることができるかもしれません。素敵な町並みの中で、食や散歩を楽しんでみてはいかがでしょうか。