絢爛豪華な曳山がまちを走る 唐津くんち

絢爛豪華な曳山がまちを走る 唐津くんち

秋の実りを祝い感謝する秋祭り。唐津市では、唐津神社の秋祭り「唐津くんち」が11月2日(日)から4日(火)まで行われます。外国人のお客様にとってお祭りは、日本文化の象徴であると同時に「不思議いっぱい」のミラクルワールド。「なぜ、曳山が街を走り回るの?」という素朴な質問が寄せられました。そこで今回は、「唐津くんち」の歴史をひもときながら楽しみ方を紹介します。

※この情報は2014年10月時点のものです。

始まりは16世紀!?

 市内外から約50万人の人出で賑わう「唐津くんち」は、唐津神社の秋祭りです。新羅出兵からの帰還に際し、神功皇后が現在の西の浜に鏡を捧げて住吉神を祀ったことが、唐津神社の起源とされています。16世紀終わりごろから、神社から神様を神輿に移して生誕の地といえる西の浜までお連れするご神幸が秋に行われました。
その後、刀町の石崎嘉兵衛という人が伊勢神宮へのお参り後、立ち寄った京都で見た祗園祭の山車をヒントに、氏子たちで赤獅子の山車(だし)を神社に奉納し、ご神幸にお供するようになります。やがて、趣向を凝らした山車が次々と奉納され、現在の曳山(ひきやま)のスタイルになっていきました。時代とともに変遷を重ねながら、「唐津くんち」は現代に受け継がれているのです


「唐津くんちはとても日本らしいお祭りだと思います。大きな曳山や綺麗な動きに圧倒されます。曳山の制作過程を知りたいです」(韓国出身・女性)


2日の夜と3日・4日の朝、曳山はここに集合した後、町内を巡行します。14台の曳山が唐津神社境内前に勢ぞろいする様子はまさに圧巻です。


曳山に目を奪われがちですが、「唐津くんち」の本来の目的は神様を御神輿で西の浜までお連れする御神幸。昔は先頭だった御神輿は今では曳山の間におかれます。

重さ2~3トンの曳山は世界最大級の漆工芸品

 「唐津くんち」の最大の見どころは、勇壮で華麗な14台の曳山です。漆と和紙を材料とした乾漆技法でつくり、外側に金箔・銀箔等で細工を施しています。高さ約7メートル、重さ2~3トンあり、漆工芸品としては世界最大級のもの。制作費も大きく、今のお金に換算すると1台1億5000万円になるといわれています。
 最も古い曳山は1819年につくられた1番曳山の「赤獅子」。続いて1824年に2番曳山の「青獅子」、1841年3番曳山のに「亀と浦島太郎」というように、縁起のいい題材をもとに1876年までの57年の間に15台の曳山がつくられ、そのうち1台が明治中頃に損滅。14台が現存しています。曳山は20~30年に1度、塗り替えや修復を行い、その技と氏子たちの思いを今に伝えています。


1819年につくられた1番曳山・刀町の赤獅子。唐津には昔から職人が多く、曳山は町の人々の手によってつくられています。


獅子や亀の後につくられたのは、4番曳山・呉服町の「源義経の兜」(1844年)でした。この町には具足屋があり、兜に詳しく制作に熱心だったとか。精巧なつくりが自慢です。


曳子は町内ごとに意匠の違う肉襦袢(にくじゅばん)を着て、その上に法被を羽織ります。組織が消防組織に由来することもあり、火消し装束の名残が見られます。


4つの車輪がついた台車を200~300人の曳子(ひきこ)で曳きます。危険のないように曳山の上の采配によって統制を取り、その動きは美しささえあります。


今年、6番曳山「鳳凰丸」(1846年)の塗り替えが29年ぶりに行われました。その完成を祝い、お旅所で餅まきが行われる予定です。


子どもたちにとって「唐津くんち」は大きな楽しみ。祭りを盛り上げる鉦・太鼓・笛の曳山囃子は小中高生が担当し、当日まで町内で練習が行われています。

3日間にわたって繰り広げられる熱い祭り

 「唐津くんち」は、神様とそれにお供する曳山が五穀豊穣に感謝し、また町々の繁栄を願いながら街を巡行します。「エンヤ、エンヤ」という曳子たちのかけ声は、もとは栄える家を意味した「エイヤ」だったのではないかという説もあります。
 2日夜からの宵山(よいやま)を皮切りに3日間にわたって祭りは行われ、遠方に住む人の中にはこの祭りのために帰省する人もいるといいます。祭りはもうまもなく。唐津っ子たちの胸の高まりが聞こえてきそうです。


11月2日(日)19時30分、花火を合図に「宵山」がスタート。1番曳山から順々に町内の曳山が引き出され、提灯の幻想的な雰囲気の中、東回りに巡行します。


11月3日(祝・月)9時30分、唐津神社に集合した曳山は西の浜のお旅所を目指します。お旅所は砂浜のため、曳込み、曳出しには曳子の手に一層力が入ります。


11月3日(祝・月)正午ごろ、曳山はお旅所に勢揃いし、夕方に再び町内へ。11月4日(火)は宵山と同じコースで巡行し、曳山展示場に戻っていきます。

両脇に家々が並ぶ昔ながらの小さな道路は、曳子たちが気を遣うところです。見ているほうもぶつからないかとハラハラドキドキ。

佐賀県庁おもてなし課 光武副課長は「子どもの頃から唐津くんちの勇壮さと華やかさに憧れをもって見てきました。宵山の美しさ、曳き込みの勇壮さをぜひ見てほしい。佐賀県民として誇りに思います」と語ります。

「曳山が迫力ありますね。なぜ街を走り回るのか、知りたいです」と話すのは、中国出身の李さん。五穀豊穣や安全、繁栄に感謝し祈願しながら街を回るのが日本のお祭りなんですね。

唐津グルメ&お土産は「アルピノ」で

 「唐津くんち」は市民あげてのお祭りのため、街中心部の飲食店のほとんどが休業となります。あちこちに並ぶ屋台も魅力的ですが、唐津グルメを味わうならJR唐津駅そばの「ふるさと会館アルピノ」へ行きましょう。11月3日(祝・月)~4日(火)、海山の幸が揃う「唐津特産市」が開かれます。レストランや唐津焼の展示場を併設し、土産品も購入できます。
 呼子町や鎮西町、肥前町へ足を伸ばせば、大名たちが口にした料理を再現した「黒田家と天下料理(PDF)」を味わえます。
 また、お祭りで気になるのがトイレ。「唐津くんち」期間中、唐津市役所前駐車場に女性専用の仮設トイレ「おりひめトイレ」を九州で初めて設置します。こちらもご利用ください。


「住民たちのおもてなしに感激しました」(韓国出身・男性)。唐津の人々はオープンマインド。「ふるさと会館アルピノ」などで人との触れ合いも楽しみましょう。


「大きな魚を食べました」(韓国出身・女性)。「唐津くんち」では各家庭でおくんち料理がふるまわれ、アラ料理はその一つです。


東日本大震災の教訓を生かし、女性の声を反映して生まれた仮設トイレ「おりひめトイレ」。ストレスの少ないデザインと機能性が特徴。九州初登場です。

DATA
唐津くんち
○期間:2014年11月2日(日)~11月4日(火) 
○場所:唐津市・唐津神社および唐津市中心部
交通
・JR:博多駅~筑肥線・唐津駅下車(約90分)、佐賀駅~唐津線・唐津駅下車(約70分)
・バス:福岡市博多バスセンターまたは天神バスセンターから昭和バス高速「からつ号」で唐津中心部へ(約60分)
・車:<福岡方面から>福岡都市高速~西九州自動車道~二丈浜玉道路経由で唐津中心部へ
※駐車場、シャトルバス、臨時バス乗り場→ココをチェック
○お問合せ:唐津駅観光案内所TEL0955-72-4963、唐津観光協会TEL0955-74-3355
○参考サイト:
唐津観光協会ホームページ

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