2006年01月26日

松下という名のお茶碗。

本日、雑誌の「自遊人」が発売された。
そのなかに、器の旅の特集が載っている。
有田焼、唐津焼、美濃焼が全29ページにわたって紹介されている。
一部の取材に同行した私は、写真の一枚一枚を「これはあそこだ。」とか「これはどこから撮ったのだろう?」と、その時を思い返しながら読んだ。

自遊人左.JPG

以前、取材で自然坊窯(じねんぼうがま)を訪問したときのこと。
工房に20代前半くらいの若い人が4~5人。
石のごろごろ混じった土を天日干しにしたり、ろくろを回したりと作業中だった。
邪魔にならないように作業場の中を歩いていて、ふと目についた1枚の写真。
額に入れられているものの、表面はホコリで薄っすらと粉をふいていた。

そこに写っていたのは1個のお茶碗。
色と形に目がとまった。
それは淡いオレンジのような肌色。
こういうのを枇杷色というのだろう。
縁の切り口がわずかに斜めになっている形。
額がまがっているのかと錯覚してしまった。

ホコリの奥にある色をよく見ようと目を近くして眺めていたら、窯元に声を掛けられた。
 「それ、いいでしょう。奥高麗でね。『松下』という名前が付いているんだよ。」
と言って、続けた。
 「松下幸之助さんが欲しくて欲しくてたまらなかったけれども、手に入れることができなかったお茶碗。そんなことから『松下』と名付けられたもの。ある個人さんが所有されていて、めったに見ることができない。」

松下に、私はさらに魅了されてしまったのだった。

投稿者 観光連盟スタッフ : 2006年01月26日 15:27