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vol.35 春を告げる白魚料理と万葉の川

古くは松浦川とも呼ばれ、清らかな美しさを湛えながら唐津の海へと注ぐ玉島川。その昔、大宰府に赴任してきた大伴旅人ら“筑紫歌壇”といわれる歌人たちは、この川を題材に多くの歌を詠みました。下流に位置する浜玉町では万葉集の歌碑をいくつも目にすることができます。そして、玉島川の春の風物詩といえば白魚。名物“白魚のおどり食い”に代表される郷土の味が春の訪れを告げます。

目次

  • 白魚のココおさえとこ!
  • 名店でいただく白魚料理
  • 万葉の川・玉島川と歌碑
  • 浜玉町のココも行ってみよう!

白魚のココおさえとこ!

浜玉町の地図 早春、ニュースでも話題になる白魚漁。いったいどんな風に食べられるのか、どんな味なのか、川魚料理の老舗「飴源」に話をうかがいました。



そもそも白魚(シロウオ)ってどんな魚?

白魚
玉島川は水質のよさから、白魚が豊富に獲れます。
スズキ目ハゼ科に属し、成魚でも体長は5cmほど。全体的に透き通り、鱗はありません。九州から北海道まで分布し、春になると産卵のために川を溯上します。玉島川の白魚(シロウオ)は溯上が多く、濃いアメ色とふっくらとした身のシャリ感が特徴なのだそうです。


玉島川での白魚漁はどんなもの?

やな掛け
やな掛け漁の風景。かごにはびっしりと白魚が入り、かなりの体力が必要です。
 産卵期を迎えた白魚は、唐津湾から満潮に乗って玉島川を上ってきます。「やな掛け」という方法で捕獲され、今年は2月10日に漁が始まりました。“やな”は河口付近に8ヵ所設置。1ヶ所は昔ながらの伝統漁法で、よしずと竹ざさを組んだ板状の2枚をV字型に組んだものが設置されています。このV字型の幅が狭くなる部分にかごを取り付け、1日に5・6回、干満に合わせて中に入った白魚を獲ります。漁は3月に最盛期を迎え、4月中旬まで続きます。
 実はこの白魚漁、今から30年ほど前に漁獲量が減り危機を迎えたことも。原因は家庭からの排水などによる川の汚染。しかし、産卵場所の確保や漁の期間制限、川を守るボランティア活動などさまざまな努力によりいつしか白魚は川に戻ってきました。白魚は自然の恵みそのものであることを痛感させられます。


白魚料理にはどんなものがある?

飴源の女将
おどり食いが大好きだという飴源の女将。「白魚料理は風流で粋な逸品ですよ」
 代表的なものはやはり“おどり食い”。「何杯でもいける」という究極の珍味です。その他卵とじやかき揚げ、つくだ煮、吸い物、和え物、白魚ご飯など店によって食べ方はいろいろ。小さくて淡白なものだからこそ、調理法によって微妙に変わる食感や味わいが楽しめます。


“おどり食い”の白魚は、飲み込むもの?噛むもの?

おどり食い単品
つるるん、ピチピチ、シャリシャリ、いろんな食感があるおどり食い。
 正解からいうとどちらでも可。飲み込むのはちょっとコツがいりますが、つるんとしたのど越しを満喫しましょう。噛めばシャリっとした歯応え。そしてほのかな甘みと滋味が広がります。食べるときは、水を張った鉢の中で泳いでいる白魚を躊躇なくすくいましょう。つけダレは、溶いたうずらの卵に店オリジナルのタレやポン酢などを加えたものが一般的。活きのよさは、白魚の跳ね具合でよく分かります。


名店でいただく白魚料理

飴源

 玉島川沿いを七山方面に進むと、創業天保9年(1838)の老舗「飴源(あめげん)」があります。その屋号は、初代源吉氏の名と当時水飴業を営んでいたことから付いたもの。ヤマメやアユの飴焼には、創業当時から変わらないつぎ足しの飴ダレを使っています。
 4月中旬くらいまでいただける「白魚摘草料理」のセットは旬満載。白魚のおどり食いは、橙と醤油だけで仕上げた手作りポン酢をうずらの溶き卵に加えていただきます。橙の風味がクンと鼻に抜け、さらに爽やかな味覚に。噛めば肝の絶妙な苦味も。かき揚げはなんと一匹ずつ揚げるのが飴源流。ふんわり柔らかく、衣に程よい塩味が付いているため箸が止まりません。客室からは玉島川の眺めも堪能できます。

白魚摘草料理
白魚摘草料理(3800円)は摘草の小鉢や白魚おどり、かきあげ、玉子とじ、ヤマメ(又は蟹)など。
飴源ご主人
この時期は漁で大忙しのご主人。

飴源の地図
<飴源データ>
所在地 唐津市浜玉町五反田1058-2
営業時間 11時〜21時
店休日 第1・3・5火曜日
TEL 0955-56-6926
URL http://www5.ocn.ne.jp/~amegen/




ココもチェック!

浜玉町で白魚料理をいただける旅館を2軒ご紹介します。目の前に海が広がる開放的な宿です。

汐湯旅館

 しっとりと落ち着いた佇まいを誇る和風旅館。新鮮な海の幸と白魚を組み合わせた会席膳をいただけます。特製の割り酢が決め手のおどり食いや人気の卵とじはもちろん、菜の花和えや白魚のにぎりなど創意工夫の逸品も。白魚の隠れた魅力を発見できる優しい味わいの膳です。
 汐湯旅館では、天然海水を汲み上げ特殊技術でろ過した“汐湯”につかれるのも魅力の一つ。玉島川の水と海水がちょうど混ざり合う位置にあり、良質な成分バランスのお湯になるとか。アレルギー性鼻炎や花粉症、アトピー性皮膚炎に効き目があります。

会席料理
白魚が芸術的なまでに変身する会席料理(4200円・2名〜)。5250円でイカの活き造りが付きます。
大浴場
明治初期から親しまれているという“汐湯風呂”。

汐湯旅館の地図
<汐湯旅館データ>
所在地 唐津市外浜崎海岸
TEL 0955-56-6011
URL http://www.shioyu.gr.jp/


旅館魚半

 創業200年、3千坪の敷地に建つ魚半は、その日に獲れた魚介を使った和会席に定評のある宿。白魚料理は「春を告げる御膳」の名で、おどり食いやかき揚げ、柳川風鍋、茶碗蒸しなどがいただけます。食事処にはガラス張りのレストランがあり、グループにはオーシャンビューの部屋食も一興です。
 別館には、かつて英国人のエリック・モーラー氏が絶景の海に感動して建てたという別荘を再現した「モーラー邸」も。2002年度インテリアプランニング賞を受賞した洗練の空間と独り占めしたかのような海の眺めは至上の贅沢。

御膳
春を告げる御膳(3,675円)。添加物を一切使わない手作りの味わい。
レストラン
1階レストラン。海の眺めは天気や時刻によって表情いろいろ。

旅館魚半の地図
<旅館魚半データ>
所在地 唐津市浜玉町浜崎1669-55
TEL 0955-56-6234
URL http://www.uohan.co.jp/


吟行の地に注ぐ万葉の川・玉島川と歌碑

玉島川の地図 景勝虹の松原の東端から七山へと続く玉島川。全長約12kmのこの川は、下流では穏やかで静かな風景が続き、上流は大小の岩々が連なる渓谷の風情に包まれています。遠い昔には“松浦川”と呼ばれ、大宰府の長官だった大伴旅人や筑前の国守だった山上憶良などが川の美しさに感嘆し好んで歌を詠みました。
 また、日本書紀には、神功皇后が三韓征伐の際、玉島川で鮎を釣り“このはりを呑め、我に勝利なければ呑むなかれ”と戦勝を占ったといわれています。「鮎」の字はこの故事から誕生したという説もあります。

玉島神社
玉島神社
道路すれすれに鳥居が建ち、階段を上ると玉島神社と境内があります。
歌碑
歌碑
歌碑も玉島川を眺めるように建っています。
 「飴源」から河口側へ向かうすぐ近くの道沿いには神功皇后を祀る「玉島神社」が川に向かって建っています。鳥居の側には大伴旅人が詠んだ歌碑があり、「松浦川玉島の浦に若鮎釣る妹らを見らむ人の羨しさ」と刻まれています。

 虹の松原入り口そばの「万葉の里公園」には、松浦川の情景を詠んだ万葉歌を刻んだ歌碑があります。


―春されば 我家の里の川門には 年魚児さ走る 君待ちがてに―
万葉の里これは「春になると我が家の里の川瀬には小鮎が走っています あなたを待ちかねて」という意味で、大伴旅人が詠んだものです。

―松浦河 七瀬の淀は よどむとも われはよどまず 君を待たむ―
万葉の里同じく大伴旅人の歌で「松浦川の七瀬の淀は淀もうとも、私は淀まずあなたを待ちましょう」というロマンチックな一句。

万葉の里公園 いずれも情景がまざまざと浮かんでくるような、情緒ある歌です。虹の松原を歩く時にはぜひ立ち寄って探してみてください。


TEL 0955-70-5824(唐津市浜玉支所)
0955-56-6937((社)唐津観光協会浜玉支所)


浜玉町のココも行ってみよう!

白魚料理を堪能したあとは、浜玉町の定番スポットから発見!の穴場までを巡る“浜ブラ”で決まり!

ハーブガーデン「草工房」

ハーブティとケーキ
バラ・ウスベニアオイ・レモングラスがブレンドされたハーブティ「ロワイヤル」。お湯を注いだ直後はブルーだったものがいつの間にか紅茶色に。ケーキは甘酸っぱい木いちごのムースケーキ。
 オープンして19年、フランスの薬草研究家モーリス・メッセゲ氏ブランドの無農薬ハーブのみを使用した、紅茶好きにはお馴染み、東京の紅茶専門店カレルチャペックの紅茶がいただける九州唯一の喫茶店です。ハーブティ(525円)の種類は20種近く。チーズケーキやリンゴのタルトなどケーキ類は全て手作りです。
 そしてくつろぎをより上質なものにしてくれるのが窓からの川の眺め。一服している間にも鴨や白鷺など多くの野鳥が行き来していることに気付かされます。まさに自然の美しさや美味しさに浸れるひとときです。


店内
玉島川河口の橋のたもとにある静かな店内。
双眼鏡
店内では双眼鏡を借りてバードウォッチングができるのも嬉しい。

ハーブガーデン「草工房」の地図
<ハーブガーデン草工房データ>
所在地 唐津市浜玉町1540-4
TEL 0955-56-8815
URL http://www4.ocn.ne.jp/~kusakobo/



虹の松原

虹の松原
平成13年には「21世紀に残したい日本の風景」で全国5位に選ばれました。
 何度訪れても松の大群の迫力に圧倒させられる、唐津観光の要。浜玉町から西へ約5kmにわたって続くクロマツの林は、その数100万本ともいわれています。林の中を県道が通るため、まるで松のトンネルをくぐっているよう。土産処やレストランなどが点在しているので、休憩スポットにも事欠きません。駐車場に車をとめて海岸に出ると、また違った感動が味わえます。


虹の松原<イベント・チェック!>

第17回虹の松原春まつり
貴重な自然遺産・虹の松原にもっと親しみ、保護を目的とする交流イベントです。小学生の駅伝大会をメインに、虹の松原の大掃除をしながらのウォーキング。エコロジカルな催しなので、親子でのご参加をオススメします。

日時 3月25日(日)10時〜14時
TEL 0955-72-9127(唐津市観光課)


魚見台公園

魚見台公園
展望台からの眺め。

 虹の松原と松浦湾を俯瞰で眺めるならココ。海沿いの国道202号を福岡方面へ向かう途中、浜崎漁港前付近から山側の道に入り車で5分という気軽さで、白砂青松の絶景に出会えます。ここは名前が示すように、かつては魚の群れの見張り台でもあったところ。園内にはアスレチック施設があり、季節にはツツジの花を観賞できます。


魚見台公園の地図
<魚見台公園データ>
所在地 唐津市浜玉町
TEL 0955-70-5824(唐津市浜玉支所)


世代間交流センター 野田の湯「やすらぎ荘」

世代間交流センター「やすらぎ荘」
無料休憩室や安くてボリューム満点の食事処も。
 のどかな山間に平成14年にオープンしたアットホームな公衆浴場。浜玉町民のくつろぎの場として親しまれていますが、町外の方でも同じ500円で利用できます。17時以降は300円になるのでお得。露天風呂やサウナがあり、一日の締めとして疲れを落としてみませんか。


世代間交流センター「やすらぎ荘」の地図
<やすらぎ荘データ>
所在地 唐津市浜玉町東山田2201
営業時間 9時〜21時
休館日 月曜日(祝日の場合翌日休み)、年末年始
TEL 0955-56-2800



けいらん

けいらん
けいらん

 浜玉土産の定番けいらんは、浜玉産米を原料にした白い生地にあんをまいた素朴な和菓子。豊臣秀吉の朝鮮出兵の際、出陣の縁起をかつぐ菓子として献上されたという歴史を持っています。店によってこしあん、つぶあん、白あんがあり、よもぎを練り込んだ生地のものも。もっちりした弾力とあんの絶妙な甘さが身上。


TEL 0955-56-6901(伊藤けえらん)
0955-56-8070(寿け〜らん)
0955-56-6827(佐々木けいらん)
0955-56-6856(茂八けいらん)




社団法人 佐賀県観光連盟 〒840-0041 佐賀県佐賀市城内1丁目1-59(観光課内)
Tel:0952-26-6754, Fax:0952-26-7528 E-mail:sakanren@lime.ocn.ne.jp
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