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心静かに過ごす冬 仏像との出会い

 昨年は佐賀県立美術館で特別展「運慶流」、九州国立博物館で「阿修羅展」が開催されるなど、仏像が注目の的に。人はなぜ仏像に惹かれるのでしょうか。今年は県内各地の仏像をめぐり、心穏やかな1年を始めませんか。


教えて、学芸員さん!仏像鑑賞を楽しむために

 皆さんは、仏像にどんなイメージを持っていますか?慈悲深くて優しくて、穏やかな…。でもそれだけじゃないのが仏像の魅力。佐賀県立美術館・学芸員の竹下正博さんにお話を伺いました。


昨年の運慶流展
昨年1月に開催された特別展「運慶流」では2万人が来場。

 ―昨年は仏像ブームとなりましたが。

 ブームというより、文化的に成熟した社会になったということだと思います。仏像は世界でも最高クラスの美術です。鎌倉時代はほんの一部の上流層しか見ることができなかったのが、今は万人が鑑賞できる。本当にいいものを理解できるところまで社会の成熟の度合いが増したんですね。


竹下さん
「仏像巡りで佐賀の歴史や豊かさをぜひ感じてください。」

 ―仏教美術に詳しくないのですが…

 仏像鑑賞の最初は、まずは素直に観ることです。仏像=優しいイメージが多いと思いますが、恐い、力強いものもあります。なぜ目がきついのか、体格がいいのか、それらを調べて見識を広げていくのも一つの手。美術館などの展覧会はいいものが揃って間近で観れますし、お寺は雰囲気が抜群。それぞれの場所で仏像の良さを発見できますよ。


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 ―鑑賞のポイントの一例をあげてください。

 仏像は信仰の対象です。時代背景による造りの違いは大きいですね。昔の人は戦や自然の脅威など人間の力が及ばないものは仏や神に鎮めてもらうしかなかったわけです。例えば平安時代後期の国が平和な時代の仏像の9割は優しい顔をしていますが、平安初期の政治が不安定な時期の仏像は顔が厳しく身体もガッチリなんですよ。



発見!佐賀県立美術館の仏像

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DATA
佐賀県立美術館・博物館
問合せ:TEL 0952-24-3947



観たい!知りたい! 佐賀県内の仏像めぐり

阿弥陀如来坐像(中央)薬師如来坐像(向かって右奥)阿弥陀如来坐像(左奥)
阿弥陀如来坐像(中央)薬師如来坐像(向かって右奥)阿弥陀如来坐像(左奥)

【蓮厳院(れんごんいん)・鹿島市】
 京都仁和寺ゆかりの寺院で、京都一流の文化が流れ込んできたところ。平安後期のものとしてはトップクラスの仏像3体を間近で鑑賞できます。主尊の阿弥陀如来像は坐像にして高さ約140cm。いずれも顔は円満で、肩は丸みを帯び、厚みのある体躯。胸やお腹には自然な膨らみがあります。かわいらしい民芸品「 のごみ人形工房」のすぐ近くにあります。
■鹿島市山浦甲1476 TEL:0954-62-1375


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【広福護国禅寺(こうふくごこくぜんじ)・武雄市】

釈迦如来坐像
鎌倉時代中期の作とされる釈迦如来坐像。

増長天

 釈迦堂に安置されている釈迦如来坐像と、その守護者として東西南北を守護する四天王像が圧巻。
釈迦如来坐像の目には水晶が。その柔和でふくよかな顔、緩やかな曲線を描いた髪の生え際に、鎌倉時代以降に目立つ理想の人間像をみることができます。
一方、四天王は前方の増長天・持国天の躍動感、後方の多聞天、広目天の静かな姿の対比にも注目。武雄温泉そば。
■武雄市武雄町富岡7438 TEL:0954-22-2649





四天王
外敵を恐れさせる激しい怒りの表情。
前方に配された待国天と増長天は口が開き、後方の広目天と多聞天は閉口しています。


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南北朝時代からの作
南北朝時代からの作。佐里温泉の帰りにいかが?

鵜殿石仏群(うどのせきぶつぐん)・唐津市】
 洞窟のような岩壁に大小60体近い磨崖仏(まがいぶつ)が刻まれています。185cmの持国天や中央窟の十一面観音など見ごたえ十分。不動明王の横には蛇を握った童子が刻まれているとか。見つけにくいので探すのも一興です。霊場として信仰されていたこの場所は、近世以降には不動明王を中心とする修験道場として信仰を集めたとされています。
■唐津市相知町相知2580
TEL:0955-51-8312(唐津観光協会相知支所)


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邪鬼を踏みつけた武人姿の像。量感のある体格です。
邪鬼を踏みつけた武人姿の像。量感のある体格です。

【円通寺(えんつうじ)・小城市】
 四天王のうち持国天(右)と多聞天(左)が安置され、運慶から四代目の大仏師湛康(たんこう)の作。制作されたのは鎌倉後期のモンゴル来襲の時期。日本の存亡がかかったときだけに、時代背景や祈祷する人々に思いをはせれば、二天の迫力も違って見えます。円通寺は、当時小城を防衛した千葉一族の菩提寺。徒歩15分ほどのところには千葉城址も。
■小城市小城町松尾3832
TEL:0952-73-2694


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像高は多聞天144.8cm、広目天149cm。ともに国の重要文化財。
像高は多聞天144.8cm、広目天149cm。ともに国の重要文化財。

大興善寺(だいこうぜんじ)・基山町】
 奈良時代(717年)開創の古刹で、国宝殿には広目天と多聞天が安置されています。身体が細くすっきりとした印象の広目天、量感ゆたかで力強い多聞天。平安後期の作で、鎌倉時代のものと比べると穏やかといえる雰囲気に注目です。安置の由来は定かではありませんが、背後に立つ基山が古代の守備的な山城であることと関係しているかもしれません。
■三養基郡基山町大字園部3628
TEL:0942-92-2627
※要電話予約



 TOPIC! あの大涅槃像が眠る 高伝寺に梅を見に行こう!

高伝寺

 佐賀藩鍋島家の菩提寺である高伝寺は梅の名所。2月の見ごろには紅梅・白梅の凛とした美しさが境内に広がります。さらに、ここは巨大な“仏画”で知られるところ。日本に二幅しかないという「大涅槃像」は横約7m、縦約15.5m。通常は釈迦堂御開扉にあわせて4月19日〜5月5日に公開されます。
■高伝寺 佐賀市本庄町大字本庄1112−1
TEL:0952-23-6486



◇ 2日間限定!「九州国立博物館」で大涅槃像の全貌が明らかに!
 その巨大さゆえ、これまでの公開では全てを見せるのは不可能でしたが、3月13(土)・14(日)日のみ、九州国立博物館・エントランスホールにて吊り下げて展示されます。誰も見たことのない全貌をしっかりご覧ください。


<仏像鑑賞その前に>
※お寺によっては行事や不在のために、拝観できない場合もありますので、事前に電話確認を
※仏像には手を触れないでください


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