孔子の里にやってきた古代ハス
多久聖廟

孔子像をまつる多久聖廟。今年は10月26日に建立300年記念イベントが行われる。
佐賀の中西部にある多久市は“孔子の里”と言われています。その由来となるのが、今からちょうど300年前に多久藩主、四代多久茂文公が建立した「多久聖廟」です。儒学の祖である孔子をまつり、教育の礎としたのです。そんな歴史ある多久で、近年話題になっているのが聖光寺(しょうこうじ)の「古代ハス」。実は昨年テレビで全国放送され、佐賀県観光連盟にも問い合わせが殺到した話題のスポットです。
ハチス

ハスの花弁が散った後に残るハチス(花托)。穴の中にある丸い実から発芽する。ハチの巣に似ていることから名付けられ、弥生人はこの実を食べていたとか。
古代ハスはその名のとおり、悠久の歴史をもつ花。昭和26(1951)年、千葉県・検見川遺跡からハスの実が発掘されました。植物学者の故・大賀一郎博士はこの実を約2000年前のハスの実と鑑定。さらに、この発掘された実から発芽に成功したのです。2000年もの間、地中6mの奥深くに眠り、現代に息を吹き返すなんて、なんという生命力でしょう!この古代ハスは「大賀ハス」ともいわれ、「世界最古の花」として国内外で注目され、全国へ根分けされました。
古代ハスが多久に根付くまで
栽培風景

タライでハスを発芽させ、地下茎が成長すると池に移し、定植させる。
多久の古代ハスは6年前の平成14年、島根県の荒神谷(こうじんだに)博物館からやってきました。ハスの実を譲り受けて栽培したのは、聖光寺のご住職・野中寛應さん。20年来の園芸ファンである住職さんは、さっそく大賀博士が考案された栽培方法を試してみました。古代ハスの実は殻が固くて、自力で発芽するのが難しいため、殻を砥石ですり、タライの水に浸して発芽を促します。こうして2〜3週間後に発芽に成功しました。
ハス池(6月上旬。開花前の様子)

今年からハス池を約2.5倍に拡張。山里の雰囲気も楽しみたい。
地下茎(レンコン)はどんどん成長し、一昨年、休耕田に水を張った池に移植。一般公開に至りました。多久の古代ハスは話題を呼び、九州一円や大阪からも観光客が訪れます。今年からはハス池を拡張し、昨年の約2.5倍の広さ(約90坪)に。さらに山アジサイも植樹されていて、今年はより多くの花が楽しめそうですね。
今年の見ごろと鑑賞のツボ
聖光寺のお堂

参道から左に折れるとお堂がある。健康と幸せと平和を願ってお参りを。
ココイコ記者も6月上旬、ハス池見物に出かけました。 聖光寺は多久聖廟のすぐ近くにあります。物産館「朋来庵」の南側から参道が伸び、約30メートル先に鳥居が見えます。聖光寺は約430年前に竜造寺長信がお城の守り寺として建立した由緒あるお寺ですが、神仏混淆(こんこう)の名残から鳥居があるのです。お堂にお参りする時も、神式にかしわ手を打ちましょう。
古代ハスの花芽

6月2日時点でたくさんの花芽が伸びていた。今年は花のつきが良いそう。
鳥居の先のあぜ道を歩いて間もなく、古代ハスの咲く池へ到着します。池のそばを清らかな小川が流れ、山里ののどかな風景に心が洗われるよう。取材した日は30〜50センチ大のハスの葉の下から、花芽がいくつも伸びていました。
最盛期の古代ハス

7月上旬が見ごろ。7月13日(日)10時〜鑑賞会もあり、住職さんが多久の歴史の話やハスの説明をしてくれる。
「今年は花芽の出が良いので、例年よりも開花が早いのでは」と住職さん。最初の開花予想は6月15日頃で、一番の見ごろは7月上旬。多いときは100輪の花が一斉に花開き、9月頃まで開花が続きます。しかし地下茎の成長の周期によるので、開花時期の予測は難しいとか。
夜明け間もない古代ハス

夜明けと共に花開く。早起きして出かけ、鮮やかな色彩を楽しもう。
古代ハスの花弁(花びら)は細長い舟形。花弁のふちになるほどピンク色が濃く鮮やかになるのが特徴です。「香りもとても良いですよ」と住職さん。ハスは夜明けと共に開き、お昼頃に閉じます。朝方は色が濃く、日に当たると色あせてくるそうです。花は3日ほどでしぼみ、ハチス(実のある花托)になります。
野中寛應さん

聖光寺住職の野中寛應さん。ユニークかつ親切な語り口で案内してくれる。
住職さんは「ハスの花は平和の象徴です。古代ハスを見て心をなごませ、やさしい気持ちになってほしい」とメッセージ。弥生時代の一大集落を復元した吉野ヶ里歴史公園と、弥生時代の花を咲かせるハス寺が、佐賀にはあります。弥生人も愛でたであろう美しく平和な風景を楽しみに、この夏もぜひ佐賀へお出かけください。
聖光寺
佐賀県多久市多久町東の原1848(駐車場あり。近隣の公共駐車場も利用OK)
TEL0952(74)3318
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