うららかな春は、お雛様に逢いたい。
佐賀城下エリアには、佐賀の歴史と伝統文化を色濃く伝える博物館やギャラリーが多く揃う。
建築遺産といえる由緒ある建物、モダンでアーティスティックな空間のもの、
その佇まいも展示内容もバラエティ豊富で見ごたえ十分だ。
春が訪れると、「佐賀城下ひなまつり」の主役であるお雛様たちが一斉に街を彩り、
和やかな雰囲気をつくりだす。
通りをそぞろ歩き、格式の高さで知られるお雛様たちを心ゆくまで鑑賞したい。
見るもの全てが上質、徴古館
佐嘉神社の隣で、威風を放つ洋館。それが昭和2年創建の徴古館である。館内には佐賀藩鍋島家伝来の御道具類や古文書など膨大な数が収蔵されている。当然、ひなまつり期間中は歴代夫人の雛人形が一堂に展示されるとあって、ファンには待望の会場となる。佐賀城下ひなまつりが他に比べて質が高いといわれる所以は、この会場を一巡すれば一目瞭然だ。
鑑賞のポイントは、最後の佐賀藩主・鍋島直大夫人栄子様に続き、禎子様、紀久子様それぞれが所用したお雛様の趣を味わうこと。明治時代の有名な人形師である永徳斎の有職雛や夫妻で新調された次郎左衛門雛、天皇・皇后から賜った御台人形など、真の品格を目の当たりにできる。また、文房具や化粧道具などミニチュアの銀製雛道具は、引き出しや蓋を開け閉めできる精巧さが素晴らしい。こうした雛道具のリアルさや豪華さにも注目したい。
宇和島伊達家・里帰り展
佐賀八代藩主鍋島治茂のむすめ、観姫様が伊達家へ嫁いだ際に誂えられたお雛様が、今回初めて佐賀へ里帰りし、徴古館で展示される。厳かな雰囲気の漂う古今雛やギヤマン雛道具などの展示に、200年近い時を経た歴史の重みも感じられるだろう。
旧家に愛らしさが満ちる佐賀市歴史民俗館
長崎街道沿いでひときわ目立つレンガ造りの旧古賀銀行をはじめ、白壁の旧三省銀行や実業家旧宅などで構成される佐賀市歴史民俗館。建築そのものの趣を生かした、演出多彩なひな祭りを楽しみたい。
上品で可憐な鍋島小紋や、佐賀を代表する伝統工芸・手織佐賀錦をまとったお雛様が華麗な世界を見せてくれる。佐賀錦は製作実演なども行われるので、美の真髄に触れる絶好のチャンスである。
有田の名門・今右衛門窯より焼き物の「殿皿・姫皿」も登場。歴代今右衛門の作品やひなまつりにちなんだ“桃”をテーマにした作品の展示も見もの。
また、自然食レストランや物産販売もあるので、時間をたっぷりとることをおすすめしておこう。
左/佐賀錦の雛人形〈旧福田家〉 右上/鍋島小紋の雛人形〈旧古賀家〉 下右/十四代今泉今右衛門作 色絵雪花墨色墨はじき更紗文姫皿〈旧古賀銀行〉 下左/びーどろ細工のおひなさま〈旧牛島家〉
みち草のススメ

あれこれお土産探し 佐賀県産業振興センター
佐賀県庁前のお堀を挟んで向かいにある県産品展示販売所。ゆったりとしたフロアには、伝統工芸品から食品まで佐賀を代表する特産品約5300種が展示販売されている。著名な作家による有田焼や肥前びーどろ、和紙といった美しい作品群にきっとお気に入りが見つかるはずだ。また、品質の高さで知られる海苔や有明海の珍味、嬉野茶、小城羊羹などの加工品・菓子類も充実。この時期なら新酒がおススメだ。佐賀県産原料を100%使用した高品質の日本酒・焼酎であることを証明する「佐賀県原産地呼称管理制度」認定酒なら、ミニサイズも揃うので、飲み比べや一人酒用にといろいろ試してみよう。
日本近代化の鍵は佐賀にあり 佐賀城本丸歴史館
城下町・佐賀の風情を色濃く伝えるこの歴史館では、佐賀城の変遷や幕末維新期の佐賀の実力を余すところなく知ることができる。木造復元建物としては日本最大規模とあって、320畳の広間を活用した展示やイベントは見ごたえ十分。佐賀藩が日本で初めてつくりあげた反射炉や蒸気車雛形に関する資料などは、日本の近代化に貢献した佐賀藩の技術力を雄弁に物語っている。 ボランティアガイドの力を借りれば理解もより深くなるというもの。楽しく親しみやすいと好評なのでぜひお願いしてみよう。家族連れには、殿様・お姫様に変身できる「こども着付け体験(夏期除く毎週日曜開催)」が人気だ。 ひなまつりに合わせ、2月8日(金)23日(日)までは「みやびなる女性の美W」を開催。鍋島家ゆかりの女性の“美”への想いを衣装等を通して紹介する。今回は細川家に嫁いだ宏姫の打掛けや小袖などが会場を華やかに演出。宏姫を中心に10代藩主鍋島直正の娘たちにまつわる品々が公開されるので乞うご期待だ。
日本最古の綿緞通を知る 鍋島緞通ギャラリー「緞」
かつては海外貿易をはじめとする商家が軒を並べて賑わった唐人町の通り沿いに佇むギャラリー。中国緞通の技法を基に佐賀の地で製作が始まり、300年の伝統を今に伝える鍋島緞通は、何年経っても変わらない風合いと洗練された意匠で多くの人を魅了してきた。 館内には、伝統的な図柄である「蟹牡丹」をはじめ格式高い模様の緞通がずらりと揃う。足で踏んでみれば圧倒的な心地よさが感じられるだろう。製作実演の見学ができるので、ゆっくりと緞通の奥深さに浸りたい。
佐賀文化発信ギャラリー 佐賀座
呉服元町アーケードの入り口近くにある佐賀座は、「古いものと新しいもの」というテーマのもと、作家の新作とアンティークが次々に個性をぶつけてくる見ごたえのあるギャラリーである。会員になる条件の難しさで知られる佐賀県陶芸協会常設展示場を併設し、中では、酒井田柿右衛門や青木龍山、井上萬二、中島宏など巨匠たちの目もくらむような大作を間近に見ることができる。 ひなまつりの展示にも要注目。明治時代からの雛人形が一堂に会し、女性向けの器の企画展を開催。表では肥前張子の恵比須人形などの展示やおにぎりカフェが登場する。
心地良い時間を過ごしたいなら 楽庵
佐賀市中央通りのど真ん中にあるギャラリーカフェ兼レストラン。登録している作家は、県内の若手からベテランまで約70名。季節やイベントにより、陶芸や絵画、写真などさまざまなジャンルからセレクトした作品に出合える。本格的な食事や喫茶を楽しみながら、時にはピアノやフルートの音楽演奏に耳を傾けられるのもいい。全て意匠が異なる作家もののテーブルや椅子までも作品の一つだ。 食事は気軽なランチから佐賀牛が付く夜のコースまで種類豊富。さまざまな作家の器でいただけるのでその個性も味わいたい。ひなまつり期間中は「雛小路」膳が限定メニューで登場。お楽しみに。











